1103 ノズル(中サイズ可変ネック長)の作成
(シンボルをコピーして修正)
作業概要
以下のノズル(中サイズ可変ネック長)のシンボルを、形状の似たノズル(中サイズ):1915をコピーして作成します。

このシンボルは、熱交換器などの円弧部分に配置するノズルで、円弧に沿ったネックを表現する為に使用するシンボルです。
下図はノズル(中サイズ):青枠とノズル(中サイズ可変ネック長):赤枠のノズルを図面内に配置した例です。
ノズル(中サイズ)はネックの長さを設定するパラメータが一つしか無いので、パラメータを変更しても上下のネックの端点をきれいに接続することができません。
今回作成するノズル(中サイズ可変ネック長)では、新たに2つのパラメータを追加して円弧に沿うようにネックを調整可能にするためのシンボルを作成します。

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前項のチュートリアル 11-02 逆止弁の形状変更(既存シンボルの修正)と同様にj01を起動します。j01は事前にバックアップを取ってください。ツリーの『P&IDシンボル』を開いたら今回は『機器/機器付属品(FEQP)』をダブルクリックします。
以下の『機器/機器付属品(FEQP)』一覧画面が現れます。
シンボル:1915が現れるまで画面をスクロールします。
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コピーするシンボル:1915を選択してリボンの『コピー』ボタンをクリックします。
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以下のシンボル種選択ダイアログが現れるので、シンボル種が「機器付属品」であることを確認し『OK』ボタンをクリックします。
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下図の通り新たな機器付属品シンボル:11000が追加されます。シンボルNoは11000番以降の空き番号が自動で割り当てられます。使用するジョブDBにより割り当てられるシンボルNo.は異なる場合があります。
このシンボルNo.11000をダブルクリックしてシンボル編集画面にします。
以下の画面が現れます。シンボルの形状はコピー元のノズル(中サイズ)と同じものになります。
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ここでまず以下プロパティを変更します。
No. プロパティ名 設定値 説明 1 シンボル名称 ノズル(中サイズ可変ネック長) 2 シンボル名称(英語) Nozzles Valiable Neck Length プロパティウィンドウで上記項目を探し、値が入力しているものは削除して上記設定値を入力していきます。
例)『シンボル名称』プロパティの値『ノズル(中サイズ)』を『ノズル(中サイズ可変ネック長)』に変更。同様に他のプロパティも設定値を入力します。
変更前 変更後 プロパティを設定値をすべて入力したら、シンボルの形状を修正します。
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最初にリボンの『パラメータ設定』を確認してみます。
パラメータ設定をクリックすると、パラメータ設定ダイアログ(以下、ダイアログ)が表示されます。
ダイアログの左側のリストはパラメータに関する設定、右側のリストは図形要素(入力点)毎に、影響するパラメータと座標方向を設定するリストになっています。
このシンボルにおいてパラメータ#1のFLANGEはY方向(フランジ径)のスケール値、パラメータ#2のHEIGHTはX方向(ネック長)のスケール値を想定して設定されています。
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試しに、パラメータ#1のスケール値を「3.0」→「9.0」に、パラメータ#2の行のスケール値を「5.0」→「2.5」に変更してみます。
入力が終わったら『OK』を押してください。
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確認メッセージが表示されますが、『OK』を押してメッセージを閉じてください。
このメッセージの内容については後半で説明します。
オリジン(0,0)を中心として、X方向に短く、Y方向に長く全体の大きさが変化しました。
このように、パラメータ値を変更することで、シンボルの個別の図形要素を編集すること無く形状を変えることが可能です。
変更前 変更後 -
次に進む前に、パラメータ#1と#2のスケール値を「3.0」と「5.0」に戻しておきます。
変更直後であれば、ダイアログを表示せずUndo:『 Ctrl 』+『 Z 』でも元に戻すことができます。
変更前のシンボル形状に戻っていることを確認したら次に進みます。
次に、図形要素順とパラメータ値の関係について解説します。
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再びリボンの『パラメータ設定』をクリックしダイアログを表示してください。
ダイアログ右側の図形要素順をクリックすると、数字のリストが表示されます。
このシンボルは6点の入力点で構成されていることが判ります。(入力点数はプロパティウインドウでも確認できます)
実際のシンボルは以下の順番に入力されています。これがダイアログの図形要素順と対応しています。
ダイアログ右側のリストのP1~P4がパラメータ#1~#4に対応していて、選択している図形要素順の入力点が、どのパラメータに連動し、セルのチェックをON
にすることで変化する方向を表しています。
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ダイアログの図形要素順で「1」を選択します。
図形要素順1の内容を確認すると、P1のYだけが
となっています。
これはこの入力点のY座標が、パラメータ#1のみに連動するということを表しています。
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次に、図形要素順で「2」を選択します。
今度は、P2のXにのみ
が設定されていることが判ります。
つまりこの入力点は、パラメータ2の値によってX方向に変化する設定ということになります。
このように、入力点毎に影響するパラメータを設定することで、特定の図形要素のみを特定の方向に変化させることが可能になります。(全てのセルをOFF
にすることでパラメータに連動しない設定とする事もできます)
次は上下で異なるネック長を実現するための設定を行います。
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まずパラメータ#3と#4に新たなパラメータ値を追加します。
リボンの『パラメータ設定』をクリックしダイアログを表示し、次のように設定を入力してください。
パラメータ 名称 スケール値 #3 NECK-L1 4.0 #4 NECK-L2 6.0 ※名称はシンボルの形状には影響しないので自由に設定することができます。
各パラメータは以下のよう関連となるように想定していて、この後、形状などを設定します。
P1:フランジ(縦線)の長さ
P2:Originからフランジへ向かうネックの中心長さ
P3:フランジ面を始点としたネックの上側の長さ
P4:フランジ面を始点としたネックの下側の長さ注意
【パラメータ設定変更時の注意事項】
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パラメータ設定ダイアログを閉じたとき、パラメータ設定に変化があると以下のメッセージが表示されます。
パラメータの設定を変更した場合、ライン接続位置の座標値は変化しません。
そのためパラメータ設定を変更して、シンボル形状が変化する場合、ライン接続位置が意図しない位置になっている可能性があります。
それを防ぐために、メッセージが表示された場合は、リボンの『ライン接続、フランジ設定』をクリックし、ライン接続位置指定ダイアログを表示して、ライン接続位置の設定を確認するようにしてください。
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入力点の座標値と、パラメータの関係について解説します。
各入力点はプロパティウインドウの座標ではOrigin(0,0)を基準とした絶対座標で表現されていますが、実際には、直前の入力点からの相対座標で設定されます。
直前までの入力点は、それぞれのパラメータの影響を受けている座標値なので、複数のパラメータ設定を利用してシンボルを作成する場合には、各入力点に設定しているパラメータ値の影響を考慮する必要があります。
ここでもう一度、コピー元となったシンボルの図形要素順を見てみます。
このシンボルの場合、ネック長は、Originを基準として+X方向にのみ伸縮するシンボルなので、パラメータ#2を変化させることで、ネックが短くなり、フランジ(縦線)⑤-⑥も一緒に移動するような設定になっています。
元のシンボル | パラメータ#2:HEIGHTを小さくした場合 Oringinを基準にしてネックが短くなる |
![]() |
![]() |
今回作成するシンボルの場合、パラータ#3(NECK-L1)と#4(NECK-L2)で、上下のネックの長さを変化させるので、その後に描かれるフランジの座標値⑤、⑥にも影響するため設定が非常に難しくなります。
そのため要素順を以下のように入れ換え、先にフランジ面を描画し、その後で上下のネックを描くようにします。
上下のネックの始点をフランジ面とすることで、パラメータ#2の変化にも対応しつつパラメータ#3。#4によって上下のネックの長さを可変できるようにします。

要素順を入れ換える作業を行います。
具体的には、横線①-②をフランジの縦線に、縦線⑤-⑥を下側ネックの横線に変えることで、図形要素順を入れ換えます。
編集ウインドウで直接線分を編集しても良いですが、ここではプロパティウインドウを利用して座標値の変更を行います。
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下側の横線①-②をクリックして選択しプロパティウインドウで、始点、終点の座標値を変更して縦線にします。
X座標は。フランジの縦線に重なると選択しづらくなるので、いったん「0」としておきます。
プロパティ 変更前 変更後 始点X 0.00 0.00 始点Y -1.00 1.50 終点X 5.00 0.00 終点Y -1.00 -1.50 変更前 変更後 -
次に縦線⑤-⑥をクリックして選択しプロパティウインドウで、始点、終点の座標値を変更して横線にします。
合わせて横線の終点を、-X方向に伸ばしておきます。
プロパティ 変更前 変更後 始点X 5.00 5.00 始点Y 1.50 -1.00 終点X 5.00 -1.00 終点Y -1.50 -1.00 変更前 変更後 -
縦線に変更した直線①-②の位置をフランジの位置に調整します。
縦線がY軸に重なっているので、リボンの座標軸のチェックをOFFにします。
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縦線をクリックして選択しプロパティウインドウで、始点、終点のX座標値を変更して位置を調整します。
プロパティ 変更前 変更後 始点X 0.00 5.00 始点Y 1.50 1.50 終点X 0.00 5.00 終点Y -1.50 -1.50 変更前 変更後 これで直線①-②がフランジの縦線に、縦線⑤-⑥が下側ネックの横線に変わり、図形要素順も入れ替わりました。
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最後に、上側ネックの長さを変更します。
↑側の横線③-④をクリックして選択しプロパティウインドウで、終点Xの座標値を変更します。
プロパティ 変更前 変更後 終点X 0.00 1.00 変更前 変更後 これで、ノズル(中サイズ可変ネック長)のシンボル形状が完成しました。
次に、上下のネック部分の長さがパラメータ#3、#4に連動するための設定を行います。
編集画面の図形要素が選択されている場合は、パラメータ設定の前に、編集画面をクリックして選択を解除します。
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リボンの『パラメータ設定』をクリックしてダイアログを表示します。
図形要素順 1~6に下表の通りに設定してください。
図形要素順 パラメータ #1::FLANGE #2:HEIGHT #3:NECK-L1 #4:NECK-L2 X Y X Y X Y X Y ① □ ✓ ✓ □ □ □ □ □ ② □ ✓ □ □ □ □ □ □ ③ □ ✓ □ □ □ □ □ □ ④ □ □ □ □ ✓ □ □ □ ⑤ □ ✓ □ □ ✓ □ □ □ ⑥ □ □ □ □ □ □ ✓ □ パラメータ設定内容の解説を以下に示します。
Origin→①へのMove フランジ ①-②のDraw X方向はP2-X、Y方向はP1-Y Y方向へのDrawなのでP1-Y ③へのMove 上部ネック ④-④のDraw X方向はP2-X、Y方向はP1-Y X方向へのDrawなのでP3-X ⑤へのMove 下部ネック⑤-⑥のDraw X方向はP3-X、Y方向はP1-Y X方向へのDrawなのでP4-X -
全ての設定が終わったらOKを押してダイアログを閉じます。
この時点では以下のように形状が崩れてしまいます。
これは各描画点のX、Y座標値が、パラメータ設定変更前のスケール値係数として計算しているためで、参照するパラメータを変更することでその係数が変わるため座標値が変化したためです。
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シンボル形状を正しくするために、図形要素順の変更を行ったときと同じ操作で形状を調整します。
フランジの直線をクリックして選択し、プロパティ欄で始点、終点のX座標を変更します。
プロパティ 変更前 変更後 始点X 8.33 5.00 始点Y 1.5 1.50 終点X 8.33 5.00 終点Y -1.50 -1.50 変更前 変更後 -
上部ネックの直線をクリックして選択し、プロパティ欄で始点、終点のX座標を変更します。
プロパティ 変更前 変更後 始点X 8.33 5.00 始点Y 1.00 1.00 終点X 5.13 1.00 終点Y 1.00 1.00 変更前 変更後 -
下部ネックの直線をクリックして選択し、プロパティ欄で始点、終点のX座標を変更します。
プロパティ 変更前 変更後 始点X 10.47 5.00 始点Y -1.00 -1.00 終点X -1.53 -1.00 終点Y -1.00 -1.00 変更前 変更後 以上で、ノズル(中サイズ可変ネック長)シンボルの作成は終了となります。
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最後に、シンボル編集ウインドウの『×マーク』をクリックしてダイアログを閉じます。
保存確認メッセージが表示されますので、OKを押して保存して終了となります。